
JR東日本では115系・E127系、JR西日本では奈良線103系が"サイレント引退した"と話題になった、JR各社の2022年3月ダイヤ改正・見直し。
JR貨物ではダイヤ改正実施により、新鶴見機関区のディーゼル機関車DE10形とDE11形の定期運用が消滅したことが確認されています。
最後の定期運用(米タン運用)が愛知DD200に置き換え
JR鶴見線扇町駅と、秩父鉄道三ヶ尻線(貨物線)の三ヶ尻駅を結ぶ、国内最後の「石炭輸送列車」が2020年3月のダイヤ改正で廃止になって以降、唯一のDE10/DE11の定期運用を持っていた、米軍横田基地への「ジェット燃料輸送列車」(通称:米タン)。2020年3月のダイヤ改正以降からは、米タンの運用(入換運用)に"代走"の形で運用についていた、愛知機関区DD200へ牽引機が変更された模様です。
・過去にも定期運用路線はあったが…
DE10/DE11形は、かつて、東京北区の田端信号場から北王子駅を結ぶ、支線(通称:北王子線・全区間が単線非電化)の定期運用に充当されていたことがあります。この他にも、常磐線~武蔵野線を結ぶ早朝・深夜の貨物列車(当時:1351列車・1351レ)のけん引機にも新鶴見DE10/DE11形が充当されていましたが、既に運用は消滅しています。
JR貨物が昭和62年4月に発足して以来、仙石線石巻港駅・東北本線岩沼駅から北王子駅接続の日本製紙専用線に納入する紙製品の輸送のため、貨物列車を運行されてきました。
しかしながら、2014年3月14日で北王子駅専用線での貨物取扱いを終了されることが発表され、同年7月1日付で、北王子支線は廃止されました。
総合車両製作所の入出場に伴う甲種輸送の牽引機も変更
総合車両製作所(J-TREC)横浜事業所への入・出場に伴う甲種輸送の牽引機も、順次DD200の運用に置き換えられました。
▲2022年3月ダイヤ改正以降、入場甲種にもDD200が充当。(被牽引車は東急東横線5050系5166F)
2020年3月以降に、初めて総車出場甲種輸送の牽引の運用に入った愛知DD200は、DE10/DE11形の代走の形ですが、複数回程度充当されてきました。
入場甲種のDD200充当は、2022年3月ダイヤ改正以降から開始されました。
下記の表では、2021年度(2021年4月から2022年3月まで)の甲種輸送の牽引機をまとめています。
表:2021年度のJ-TREC横浜入出場に伴う甲種輸送の牽引機まとめ
輸送日 | 牽引車 | 被牽引車 |
(入)2021/4/9 | DE10 1666 | 東急目黒線5080系(5182F) |
(出)2021/4/20 | DE10 1666 | JR東日本E235系G車(F-12編成,F-13編成) |
(出)2021/5/11 | DE10 1662 | 東急田園都市線2020系(2145F) |
(出)2021/5/25 | DE10 1666 | 東急目黒線3000系(3001F) |
(入)2021/6/4 | DE10 1666 | 東急目黒線5080系(5181F) |
(出)2021/7/13 | DE10 1662 | 東急田園都市線2020系(2147F) |
(出)2021/8/17 | DE10 1666 | 東急目黒線5080系(5182F) |
(出)2021/8/24 | DE10 1666 | 東急田園都市線2020系(2148F) |
(入)2021/9/3 | DE10 1666 | 東急目黒線5080系(5186F) |
(出)2021/9/14 | DD200 3 | 東急目黒線3000系(増結中間車) |
(出)2021/9/28 | DE10 1666 | 東急目黒線5080系(5181F) |
(入)2021/10/8 | DE10 1666 | 東急目黒線5080系(5187F) |
(出)2021/10/26 | DE10 1666 | 東急目黒線5080系(増結中間車) |
(出)2021/11/4 | DE10 1666 | しなの鉄道SR1系(S301編成~S303編成) |
(出)2021/12/2 | DE10 1666 | 東急目黒線5080系(5186F) |
(入)2021/12/17 | DE10 1666 | 東急目黒線5080系(5189F) |
(出)2022/1/18 | DE10 1666 | 東急目黒線5080系(5187F) |
(出)2022/1/25 | DE10 1666 | 阿武隈急行AB900系(AB-3編成) |
(入)2022/1/28 | DE10 1666 | 東急目黒線5080系(5190F) |
(出)2022/2/5 | DE10 1666 | JR東日本FV-E991系(ひばり) |
(出)2022/3/1 | DE10 1666 | 東急目黒線3000系(増結中間車) |
(出)2022/3/8 | DE10 1666 | JR東日本E235系G車(F-14編成~F-16編成) |
(入)2022/3/18 | DD200 15 | 東急東横線5050系(5166F) |
(出)2022/3/22 | DD200 15 | 東急目黒線3000系(増結中間車) |
(出)2022/3/29 | DD200 15 | 東急目黒線5080系(5189F) |
太字・・・2022年3月ダイヤ改正以降の甲種輸送
(新鶴見~逗子の輸送列車を基準としているため、東急関連の甲種輸送に関しては、本来の入場・出場日と輸送日が異なる場合があります。)
2021年度入出場の牽引実績として、新鶴見DE10 1662号機が2回、1666号機が19回、DD200 3号機が1回、15号機が3回それぞれ充当されました。
DE10 1666号機が、全体(25回中)の割合76%を占めました。
原則として、J-TREC横浜の入出場に伴う甲種輸送の牽引はDD200に置き換えられたものと推測されます。
新鶴見機関区DE10/DE11形の在籍状況
新鶴見機関区には、DE10形とDE11形がそれぞれ4機(計8機)が在籍しています。DE10 1662号機,1666号機,1726号機,3509号機(1500番台:3機、3500番台:1機)
DE11 2001号機,2002号機,2003号機,2004号機
新鶴見機関区所属のDE10/DE11形だけではなく、岡山機関区のDE10形に廃車が進められており、JR貨物にとどまらずに、JR九州のDE10形もDD200 700番台登場によって、この先が危うくなる可能性があります。
ダイヤ改正以降は、JR貨物 新鶴見機関区所属のDE10/DE11形の1機も運用には入っておらず、貨物駅ターミナルの入換運用も既に、入換専用機のHD300形に置き換えられています。
この先のDE10/DE11形計8機の今後の動向に要注目していきたいところです。