
西武サステナ車両をめぐっては、小田急から譲受した8000系が今年5月にも営業運行を開始する見通しです。東急側についても新情報を含めた車両動向について振り返ります。
【「サステナ車両」の定義】
まず「サステナ車両」とは、環境負荷の少ない他社からの譲受車両を指します。
2022年に公表された西武ホールディングス(西武鉄道)の中期経営計画と若干定義の表現が変化しているのが特筆されます。
(参考:2022年公表 中期経営計画の資料より引用)
『無塗装車体、VVVFインバーター制御車両等の他社からの譲受車両を当社独自の呼称として定義』
★西武鉄道が導入する「サステナ車両」の概要★
・授受車両授受車両は、①東急電鉄「9000系※」と②小田急電鉄「8000形」の2車種です。
※9000系の中には元田園都市線2000系を改造した9020系を含むと報道。
・授受車両数(報道含む)
導入される車両数としては、①東急電鉄「9000系」と小田急「8000形」の約100両を予定しています。
なお報道によれば、①東急9000系が4連化した上で約60両(14編成~16編成程度)、②小田急8000形は6両編成の車両が約40両(6編成~7編成程度)が検討されている模様です。
さらに、鉄道ファン2024年11月号では、小田急8000形のサステナ車両は「6両編成×7本計42両が導入」される旨の記載を確認しています。
現在、運用中の8000形6両編成は、譲渡済みの8261×6(8261F)を除けば、
8252×6(8252F)、8253×6(8253F)、8258×6(8258F)、8260×6(8260F)、8262×6(8262F)、8263×6(8263F)、8265×6(8265F)、8266×6(8266F)
以上、8編成のみとなっており、内残り6編成程度が今後、譲受される見込みです。
・導入路線
サステナ車両が導入される線区は車両別に以下の通りです。
①東急電鉄「9000系」→多摩川線・多摩湖線・西武秩父線・狭山線
②小田急電鉄「8000形」→国分寺線
・導入時期
サステナ車両は2025年度~2029年度を目途に導入される予定です。
なお、サステナ車両第一編成目は小田急8000形で2025年5月頃から運行開始(予定)です。
東急9000系は2025年度以降に運行開始(予定)とされています。
・「サステナ車両」の内外装デザイン
「サステナ車両」の内装並びに外装デザインについては未公表の他、改造の際に8000系(元8000形)は変更、東急9000系についても、『8000系と同じく新たなデザインを車両部内で公募しており、外装は変更する予定』であることが言及され変更される見通しです。
【置き換え対象車両】
譲受車両の導入による置き換えの対象は、『2000系の支線区を走る車両と、101系(※)、4000系のVVVFインバータ制御ではない3形式』と報じており、その後『既存の車両のうち、非VVVFインバータ車である2000系や101系などは、2030年までに引退する予定。』と言及されました。
【大井町線9000系 退役時期】
2023年10月1日付の東洋経済オンラインにて配信された記事にて、東急への取材に基づいた取材の中で「9000系は(略)、2027年頃をメドに退役する見込み」との記述が確認されました。
9000系列の退役時期が触れられるのは今回が初めてです。
後程触れますが、「サステナ車両」として西武鉄道に導入されるのは2025年度以降~2029年度頃までで、転用期間は約4~5年とかなり猶予がありそうです。
【退役前に西武鉄道へ譲渡】
9000系は退役前の2025年度以降から「サステナ車両」として西武鉄道へ譲渡される予定です。
西武鉄道では、多摩川線・多摩湖線・西武秩父線・狭山線の4路線に導入予定で現行車両の置き換えが見込まれます。
なお、この譲渡車においては、田園都市線から転用した9020系も含まれているとの記事も報じられており、9000系・9020系全体で18編成配置されている現状を見ると、9000系全てが譲渡される訳ではなく一部車両については廃車の可能性も考えられます。
2025年4月12日付の乗り物ニュースの取材記事によると、東急9000系に関しての新情報が続々と言及されました。
東急9000系のVVVFやSIV(補助電源装置)は交換し、『「運用先の西武秩父線では正丸トンネルなどの長大トンネル区間が存在するため、車内の燃えやすい素材を全て交換する必要もあります』としています。
車内に関しては床材も取替えとなるものの、9000系の座席形態(ロングシートの座席や車端部にあるボックス席)については「現時点では変更する予定はない」見通しで、西武秩父線では今後、ロングシートが主体となる見通しです。
なお、改造は①東急テクノシステムと、②武蔵丘車両検修場の2か所で実施されるそうです。このため、小田急8000形と同様にJR線経由のJR貨物による甲種輸送が想定されます。
4000系が秩父鉄道へ直通する件については、9000系は「秩父鉄道の設備がVVVF車に対応しておらず、誘導障害が課題となるため、乗り入れる予定はありません」とし、西武秩父線と秩父鉄道との運用の変化も推測されます。

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▲2025年4月12日付の乗り物ニュースの取材記事
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