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JR東日本鶴見線を中心に実証試験を実施している、FV-E991系(HY編成)「水素ハイブリッド⾞両(燃料電池)試験⾞両」。試験の様子が報道関係者向けに公開され、実証実験が「24年度末(2024年度末)までの予定」であることが判明しました。
実証試験が終了する2024年度末以降から2030年度頃に量産化を目指す期間、FV-E991系HY編成はどうなるのでしょうか。


【FV-E991系の位置づけ】
FV-E991系は、燃料電池鉄道車両(ハイブリッド車)の「試験車両」という位置づけとみられていますが、「試験車両」についてはおおまかに次の3種類に分類できるとみられます。

①技術開発の目的で各種の試験
を行う「試験用車両」※1②新型車両の量産の前に各種の試験を行う「試作車」、③鉄道設備の消耗状況や建築限界など、地上設備の測定を行う車両※2が挙げられます。

※1例:JR東日本E956形、E995系、209系MUE-Train、JR西日本DEC700形 他
※2 例:JR東日本E491系、JR東海キヤ95系、JR西日本キヤ141系、相鉄モヤ700形、近鉄モワ24系「はかるくん」他


『実使用環境下での走行試験を伴う実証試験を行い、安全性、環境性能、車両性能などを確認します。 実証試験を通じ、燃料電池制御技術の最適化や、地上設備に関する技術開発項目の検討など、将来の 燃料電池車両実用化に向けたデータを収集していきます。』と明記されていることからも、①「試験車両」であり且つ、②「試作車」でもあることが考えられます。


【FV-E991系のベースとなったE995系】
過去の車両E995系「スマート電池くん」(元キヤE991形気動車)のクモヤE995形と同様のシステムを搭載し、航続距離の延長などが行われ誕生した試験車両FV-E991系。

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(FV-E991系のベースとなったE995系)
FV-E991系のベースとなったE995系は、キヤE991形時代(ハイブリッド気動車)は宇都宮運転所に所属、2007年3月に一旦廃車(除籍)となりました。燃料電池動車への改造後は、無車籍で長野総合車両センター、蓄電池駆動車に改造された後は小山車両センターに所属(※車籍は新製車扱いで2010年2月に復活)し、周辺の各路線で各種試験が実施されました。

なお、試験終了後は所属先の小山車両センターに長らく留置されていたましたが、2019年12月19日付で廃車、2020年2月19日に解体されました。


【FV-E991系の今後】
FV-E991系の今後、つまり実証実験終了後の動向については現状の所、言及されていません。
なお、鉄道コムがJR東日本関係者に向けた取材記事においては、FV-E991形に搭載されている「パンタグラフ台」については、将来の転用を考慮した設備であることが触れられています。
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FV-E991系については、貯蓄できる水素の量を増やし、現行の最大140キロから2〜3倍程度の距離を走れるようにするとの情報もあり、今後の車両改造工事の施工の中で、量産化に向けた何らかの動きが見られそうです。

JR東日本エリア内を走行する気動車の取り換え計画にあたっては、現状では『ハイブリッド車両(ディーゼル) や蓄電池電車(ACCUM)を軸とする』との段階です。JR東日本グループ「ゼロカーボン・チャレンジ 2050」達成に向けた取り組みについて


狭軌線用かつ営業列車としても運用可能な仕様としては世界初のFV-E991系「HYBARI」。
2024年度末~量産化の間にどのような動きを見せるのか、要注目です。

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