JR九州は7月19日、運賃・料金改定の申請について概要を発表し、次世代車両の新製で415系やキハ40・47といった「老朽化車両」を置き換えるとともに、既存車両については改造工事を随時実施していく方針を明らかにしました。
今回どういった車両が「次世代車両」の対象となっていくのか見て行きます。
【次世代車両の新製 】
JR九州が示した今後の設備投資計画について、2024年度~2030年度にかけて、「次世代車両の新製」を実施する見通しです。
「次世代車両」の新製に伴う車両代替の例として、「415系」から「821系」「YC1系」の画像を用いて示されていることが資料より読み取れました。
(補足ですが、資料で添付されていた写真はあくまで置き換えの流れの例を列挙したのにすぎず、次世代車両の置き換え対象は「老朽化車両」とされています。今後の置き換え車両となるかについてはまた別の話と推察されます。なお、実際に415系の一部車両の821系による置き換えは実施されており、この記事内容・記事タイトルと矛盾する点はございません。)
老朽化が進む車両は、延命工事などにより長寿命化しているものの、メンテナンスに人手や修繕等の費用も必要なことから順次、車両を新製に切り替えていく方針のようです。
・新製車両例① 821系(近郊型交流電車)
老朽化した415系の置き換えを目的として、817系の後継車種として821系が開発されました。
フルSiCを採用した主回路システム搭載が特徴で、従来車(415系)と比較して約70%の電力消費量を低減を実現する車両です。
当初はいずれの編成も南福岡車両区に配置され、一部の列車を除き811系と併結した7両編成で鹿児島本線の小倉駅~荒尾駅間の普通・区間快速・快速列車を中心に運用してきましたが、車両増備にともない運用範囲は拡大し、2021年3月13日のダイヤ改正では熊本地区でも運行開始となりました。
821系は、今後も運転区間をさらに拡大をする計画だといいますが、10編成30両以上の車両増備についての記述は現時点で確認されていません。
・新製車両例② YC1系(蓄電池搭載型ディーゼルエレクトリック車両)
YC1系は、老朽化したキハ66・67形やキハ40・47形等の置き換え用として開発されました。
JR九州では初となるハイブリッド型の気動車で、前述の821系と様々な部分で共通化が図られており、前部標識・後部標識・行先表示器・空調設備などは、821系と共通のものが搭載されています。
2020年3月14日のダイヤ改正より、佐世保線(佐世保~早岐)、大村線、長崎本線(諫早~長崎)で営業運転を開始し、 2021年7月以降は、長崎地区のJR非電化区間における定期列車は基本的に「YC1系」で運用されています。
YC1系は今後も導入が推進されていく方針で、2024年度においても数本の増備が計画されています。
・新製車両例③ 新形式車両の導入
821系やYC1系などの既存車両だけではなく、新形式車両(823系?ほか)の導入の可能性も完全には否定できません。ただ、2024年度~2030年度の「次世代車両」への設備投資額が約125億円ということとなると、新形式等の設計・開発などのイニシャルコストが掛かるよりも、YC1系など既存車両の増備の方がコスト面でも、増備に留まる可能性があります。
【次世代車両の新製 】
在来線車両の検査・修繕工場の建物については、建造後100年を超えるものがあるなど老朽化が著しく、BCPの観点からも耐震性に優れた施設へと整備する ことを検討する見通しで、自動化やロボット化、レイアウトの変更が実施される予定です。
【車両改造 】
車両製作から20年以上経過した電車においては、主回路機器をエネルギー効率の高い機器へ取り替えるとともに、経年劣化が進んだ機器の更新を実施することが明記されました。
主回路機器を一新することで消費電力量を減少させ、環境負荷の低減を実現するとともに、経年劣化による不具合の発生を抑え、列車遅延や運休の未然防止を図るとしています。
運賃・料金改定の申請について(JR九州)
JRグループ(JR貨物、JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国)など各社も、国鉄時代に製造された車両の置き換えが進められています。
JR北海道だと721系「快速エアポート」置き換え、JR西日本だと113系、115系、117系の置き換え、JR四国だとキハ40・47形の置き換えが既に発表されています。
過去に延命化された車両においても、再度延命化...の流れはやはり難しいものですかね。
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